冷めても美味い、日本の焼き鳥弁当
日本の焼き鳥弁当は冷めても美味しいのである。
ぼくは日本滞在中、けっこうな頻度で、焼き鳥専門店のカウンターに陣取っている。
編集者とよく行く。そして、いつ出版されるのかわからない新作小説について話をするのが好きだ。
でも、結論なんか出ない。ただ、その場を楽しむために書く気もない作品の構想を語っている。
焼き鳥を6本ずつ食べて、焼酎のソーダ割りを数杯飲んだら、ぼくは最後に焼き鳥弁当を注文する。
今日は編集者も食べたいというので、二つ頼んだ。
酔って帰り、一度寝る。深夜に起きてぼくは文章と向かいあう。
真夜中、必ずお腹がすく。そういう時間に、この焼き鳥弁当が絶大な効果を表すのだ。
静まり返ったキッチンで、ぼくは焼き鳥屋の焼き鳥弁当を開けて、食べる。これが実に美味い。
白ご飯の上に、鶏肉のそぼろがかけられている。その上にささみの焼き鳥、つくね、ネギ、青唐辛子の
串がのっかっている。空腹が喜んでいる。冷めても美味しいのが日本の焼き鳥弁当の素晴らしさだ。
焼き鳥弁当で身も心も満たされたら、夜が明けきるまで、ぼくは再び創作に向き合うのである。