料亭の「五段弁当」
料亭というのは、明確な定義はないが、高級な和食屋の総称であろう。
厳密にいえば、予約して利用する、お座敷や個室で高級な料理を提供する和食店であり、
時に、芸妓の芸を楽しむこともできる。
銀座と並ぶ大人の街、赤坂に「赤坂浅田」という料亭がある。
そこで五段弁当を食べた。北陸地方の食材で通る料理を得意とする赤坂浅田の
ランチでのみ頂けるお弁当なのだが、五段の重箱に入っている。
前菜とお椀が出た後に、五段の重箱に入った、お刺身、焼き物、揚げ物、煮物、酢の物
が出される。
これがどれも美しくて、美味しい。見事な調和を保っている。すべての食材は日本の北陸地方から運ばれている。
最後には、昆布だしのダシで頂く、名物の蕎麦が出てくる。これが、生涯で一番美味しい蕎麦であった。
赤坂のオフィス街にあるのだが、一歩店内に入ると、静寂の異空間が出現する。
時間を忘れるような静かな畳間で、頂く五段弁当はぼくの
東京滞在で一番記憶に残った料理でもあった。
東京のど真ん中で喧噪を忘れて静かに和食を味わいたい人におすすめである。